権益の7割がアジア集中

中国海洋石油が、ユノカル買収を提案した理由は、ユノカルがアジアに大量の油田権益を持っていたからだ。ユノカルの油田やガス田のうち約7割(埋蔵量ベース)は、アジア地域に集中していた。

買収が成功していれば、中国海洋石油は一気にアジア地域でのエネルギー開発で主導権を握れた。

米下院が買収差し止め法案を可決

買収計画の背後には、中国政府の強い意向があった。米下院は、中国海洋石油によるユノカル買収の差し止め法案を可決した。その際、中国外務省は激しく非難した。声明では「我々は米国議会が両国企業の正常な商取引への干渉をやめるよう要求する」と訴えた。

こうした中国政府の姿勢が逆に、「政府ぐるみ」の実態を際だたせた。米議会の一層の反発を招き、買収を困難にした。

中国の3大国有石油企業グループ

中国国内での石油開発は頭打ちだった。国有3大石油企業グループは、海外のエネルギー会社の買収による権益確保を加速させた。

■ 中国の3大国有石油企業グループの概要(2004年)
会社名 中国石油天然ガス集団 中国石油化工集団 中国海洋石油
略称・通称 CNPC(ペトロチャイナ) SINOPEC(シノペック) CNOOC(シノック)
業務内容 中国国内では主に西北部の開発を手がける。国外で30か所以上で資源開発プロジェクトを実行 エチレン、ポリプロピレン製造など石油化学事業にも重点を置く。国内では、東南部の開発を主に手がける 海洋資源開発に主に従事する。日中間で問題となっている東シナ海の春暁ガス田も手がける
生産高 *石油:1億2242万トン
*天然ガス:262億立方m
*石油:3816万トン
*天然ガス:53億立方m
石油換算:3648万トン
売上高 5500億元(15.7%増) 6000億元(28.6%増) 709.2億元(32%増)
総資産 *7362億元*5592億元 1532.6億元

(各ホームページでの発表による。数字は2004年実績。*は2003年。売上高のカッコ内は前年比)


動画

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カナダでも買収攻勢

中国の3大石油の一つ、シノペック(中国石油化工集団、SINOPEC)は、カナダの石油会社ハスキー・エナジー社の買収交渉を進めた。

オイルサンドの権益獲得

さらに、カナダのカルガリーのエネルギー企業シネンコ・エナジーからノーザンライツ・プロジェクトの権益40%を取得した。同合弁では、アルバータ州アサバスカ地域の186平方キロのオイルサンド(砂状石油)のリース権を取得した。

カナダのアルバータ州には、膨大なオイルサンドが確認されていた。サウジアラビアの石油埋蔵量に匹敵すると言われた。その権益が狙いだった。

一方、最大手の中国石油天然ガス集団(CNPC)は、カナダの石油会社ペトロカザフスタンの買収計画を進めた。